高級腕時計やブランドバッグなど、価値があるものを担保にしてお金を貸してくれる質屋は、どんな人にも無審査で融資を行ってくれるため、金融ブラックの人にとっては貴重な借入先のひとつです。
ただし利用にはリスクをともないますので、ここでは安全に利用するためのポイントをご紹介しています。
過去に金融事故を起こしてブラックリストに載っている人は、銀行や消費者金融からの借り入れができません。
そういう人でもお金が必要になることがありますよね。
そんなときにおすすめなのが無審査でお金を借りることができる質屋です。
ところが、質屋は銀行や消費者金融などの金融機関とは仕組みが違うため、同じような感覚で利用すると思わぬ失敗をして、大切なものを失ってしまう可能性があります。
ここではそのような失敗をしないために、質屋を正しく利用する方法について詳しくご紹介していきます。
このページで分かること

質屋は金銭的に価値のあるものを担保にしてお金を融資しているため、質草さえあれば過去に金融事故を起こしている人でも無審査で融資を受けることができます。
ただし銀行や消費者金融よりも金利が高く、月9%もの金利が発生するケースもあります。
さらに原則として3ヶ月後に借入金と利息を返済しなくてはいけません。
返済の目処が立っていないのに安易に借りてしまうと、返済できなくなったときに質草を失います。
このようなリスクがあるため、利用するときには給料などで確実に返すことができる2〜3万円程度の借入れにしておく必要があります。
質屋の仕組み

質屋は金銭的な価値のあるものを担保にして、お金を借りることができるお店です。
その担保になったものを質や質草というため「質屋」と呼ばれています。
その仕組みはとてもシンプルです。
- 質屋に質入れしたい物を持っていく
- 質屋が鑑定して融資できる額と利息を提示する
- 合意したら質を預けてお金を借りる
- 期限までに借入額と利息を支払う
- 質入れしたものが返ってくる
もし期限までに返済できなかったときには、質入れしたものの所有権が質屋に移ります。
質屋は自分の所有物になったものを売却して、借金の穴埋めをします。
質屋は融資額を中古買取価格よりも低く設定することで、絶対に赤字にならないような仕組みになっています。
例えば高級腕時計を質に入れるとしましょう。
質草 | ロレックス デイトナ |
買取査定額 | 140万円 |
質査定額 | 112万円 |
もし返済されなかったとしても、ロレックス デイトナを売却すれば140万円が手元に入ってきます。
融資しているのは112万円ですので、融資額の回収だけでなく28万円の収益も上げることができます。
銀行や消費者金融は信用をベースに融資の可否を決めていますので、貸した人がきちんと返済できる人かどうかを見極めるために審査を行います。
でも、質屋は貸した相手がどんな人なのかは関係ありません。
その人が返済できなくても利益が出るので無審査で融資を行います。
ただし、質草の鑑定はしっかりと行います。
質草になるものの価値を見誤ると売却したときに損をする可能性があるためです。
このため、価値がわかりにくい骨董品やアンティークなどは質草になりにくく、中古市場価格が安定しているものだけが質草として利用できます。
質屋を利用する上での基礎知識
ここまでの説明で、質屋の仕組みについて把握してもらえたかと思います。
そこで、次は質屋を利用する上で知っておくべき、金利や質入れ可能なものの種類などを解説していきます。
質屋の金利

銀行や消費者金融などの金融機関は利息制限法によって、年20%が金利の上限(10万円未満の貸付)になっています。
ところが質屋は利息制限法ではなく、出資法の上限である月9%を適用しています。
月9%というのは実質年利が108%ですので、金融機関よりもかなり高利なのが分かります。
ただし、実際の金利は質屋によって違います。
例えば大黒屋質東京駅前店の場合の金利は次のようになっています。
1000万円以上 | 月0.95% |
100万円以上 | 月1.25% |
30万円以上 | 月1.5% |
10万円以上 | 月5% |
1万円以上 | 月6% |
1万円未満 | 月8% |
10万円を1ヶ月借りた場合の利息は5,000円です。
年18%のカードローンで10万円を借りて、1ヶ月で返済した場合の利息が1,500円ですので、3倍以上も利息を払わなくてはいけません。
このように利息が高いというのが質屋を利用する上でのデメリットのひとつになります。
質屋の返済期限

カードローンなどでお金を借りた場合には、月々1万円というような分割での返済ができますが、質屋の場合には返済期限までに一括返済を行います。
返済期限は原則として最大3ヶ月ですが、利息を支払うことで延長できるケースもあります。
借入金額 | 30万円 |
金利 | 月1.5% |
借入期間 | 3ヶ月 |
このケースでは、3ヶ月後に元金の30万円と利息の13,500円(1ヶ月4,500円)の合計、313,500円を返済します。
質屋は高利だとお伝えしましたが、これくらいなら許容範囲内ですよね。
問題なのは3ヶ月後までに用意できるかということです。
返済できなくなったら質流れする

質屋で借りたお金を返済できなくなったら、質草の所有権が質屋に移るとお伝えしましたが、この点についてもう少し詳しく説明します。
質草の所有権が質屋に移ることを、質流れと言います。
質流れをすると、所有権を失う代わりに借りたお金も利息も支払う必要がなくなります。
実質的に買取されたのと同じような状態になります。
カードローンは返済期限に返済されないと、金融機関から連絡がありますが、質屋は期限までに返済がなくても連絡がありません。
返済期日になっても返済されなかった場合には、自動的に所有権が移り、取引が終了します。
質流したものは店頭で販売されたり、中古市場で売却されたりします。
このため1度質流したものを取り戻すのはかなり難しくなるということを覚えておきましょう。
質屋を利用する上での注意点
- 返済計画を立ててから借りる
- 手放せないものは質草にしない
- 売却することも検討する
質屋を利用してお金を借りるときに気をつけたいのがこの3点です。
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
返済計画を立ててから借りる

質屋で1〜2万円借りて、次の給料日に返済できるというのであれば、細かな返済計画を立てる必要はありませんが、給料で返済できないような額を借りる場合には、必ず返済計画を立てて、完済できる目処が立ってから借りるようにしましょう。
カードローンと質屋の最大の違いは、返済期間にあります。
長期間での返済が可能なカードローンと違い、質屋は3ヶ月後の一括返済です。
給料の手取り以上の借入れをした場合には、その他に臨時収入がないかぎり返済するのは困難になります。
無理のない返済計画を立てられないのに、質屋を利用することはおすすめできません。
簡単に借りられるからこそ、きちんと返済計画を立ててから申込みましょう。
手放せないものは質草にしない

いくら返済計画を立てたとしても、人生は何が起こるのかは分かりません。
入ってくるはずのお金が入ってこず、返済期日を迎えてしまうことも考えられますし、返済直前に交通事故にあって入院するという確率もゼロではありません。
質流するリスクは常にありますので、本当に大切なものを質草にしないように注意してください。
親の形見の腕時計や婚約指輪など、自分にとってお金以上に価値のあるものは質入れせずに、失っても困らないものを預けるようにしてください。
原則として質流れしたものを取り戻すことはできません。
もし取り戻せる機会があっても、借りた金額よりも遥かに高額なお金を用意しなくてはいけなくなりますので、質入れするものは慎重に選びましょう。
売却することも検討する

返済計画が立たないという場合には、最初から売却することも検討してみましょう。
上記でご紹介しましたように、質査定額は買取査定額よりも2割近く低く設定されますので、返済できなくなったときには、結果的に安く売ったことになります。
安値で売ることになるくらいなら、最初から売っておけば手にできる現金の額も大きくなります。
さらに、メルカリやヤフオクなどを使えば買取査定額よりも高く売れます。
質草になるような商品には、中古販売価格の相場というものがあります。
上記のロレックス デイトナの中古買取価格が140万円でしたが、中古販売価格は200万円を超えることがあります。
質入れして借りられるのが112万円ですので、200万円の価値がある商品を112万円で手放すことになるのは、明らかに損ですよね。
メルカリやヤフオクで100万円を超える取引をするのはリスクが高すぎますが、買取専門店に持っていけば、少なくとも質屋の買取価格よりも高く買ってもらえます。
質屋も便利な借入先ですが、返済が確実でないなら売却することも選択肢のひとつとして考えておきましょう。
まとめ:短期間で少額を借り入れるなら質屋はとても便利

質屋は質草さえあれば無審査でお金を借りることができるため、カードローンやクレジットカードなどでお金を借りられない人にとっては、とても助かる存在です。
ただし金利が高く、原則として3ヶ月以内に全額返済を行わなくていけません。
返済できなくなった場合には質草の所有権が質屋に移り、どれだけ大切なものであっても手放さなくてはいけなくなります。
そうならないためにも、確実に返済できることが分かっているときにだけ利用するように心掛けましょう。
具体的には無理なく給料で返済できる金額、2〜3万円程度までの借入れであれば問題ありません。
それ以上の金額を借りる場合には、返済計画を立ててから質屋で借りるようにしてください。